技術者や技能者に対する継続的な教育訓練の重要性については、建設業においても他産業においても変わらない。
建設業では、特に最近の「継続教育ブーム」によって技術者教育への意識は高まってきている。
しかし、教育訓練のあり方についての基本的な考え方が一貫していないために、貴重な時間と貴重なお金を浪費してしまっている例が多いように感じる。
CPDあるいはCPDSポイントをによる技術者評価の仕組みを利用していくことは必要であるが、それ以上に経営戦略上必要な技術者教育をきちんとして行かなければならない。
長期的視点において経営の基礎となる「人財」を育成していくためには、地に足を付けて”計画的”に教育を行わなければならない。
技術者の教育訓練は、企業の将来を左右する大変重要な経営課題であることを認識して取り組まなければならないということである。
以下、教育訓練のあり方について、持論を述べてみたい。
教育訓練は、短期的・長期的な視点の両面から計画的に行う必要がある。
教育訓練計画の作成に当たっては、以下の問いに答える必要がある。
1)何を教育するのか?
2)誰を教育するのか?
3)どれを優先するのか?
4)いつまでに、どのように教育するのか?
5)成果は何か?
以下、各項目について詳細に記述する。
1)何を教育するのか?
まず前提条件として、会社(全体)があげるべき成果何か知らなければならない。
そして、その会社(全体)があげるべき成果に対して、各部署あるいは各個人がどのような貢献を果たすべきなのかを知らなければならない。
各部署あるいは各個人がその貢献を果たすために必要とされる知識やスキルが、教育すべきモノである。
このとき、会社(全体)の成果に対する貢献は、直接的に目に見える事項に限らないことに注意が必要である。
会社(全体)の成果に対しては、間接部門が果たすべき役割をもち、その役割を果たすために必要な知識・スキルが必ずある。
また、必要であることが明らかになった各知識・スキルについては、それぞれの事項の会社成果への影響度合いを評価しておく必要がある。
1-1 会社があげるべき成果は何ですか?
1-2 会社があげるべき成果に対して、各部署あるいは各個人が果たすべき貢献は何ですか?
1-3 会社があげるべき成果に貢献する知識・スキルは何ですか?
1-4 それら知識・スキルの会社の成果に対する影響度合いはどうですか?
2)誰を教育するのか?
まず、上記で明らかになった必要な知識・スキルに対して、教育対象候補者が現在どのようなレベルにあるのかを明らかにする必要がある。
教育対象候補者と必要な知識・スキルの組み合わせを行列表に表し、各教育対象候補者の現状の知識・スキルレベルを記録する。
上記行列表が、現状の会社従業員の教育レベルの基本情報である。
これに対して、どの候補者のどの知識・スキルを高めるていくべきなのか、それは経営上の意思決定である。
このとき、各個人の能力差も考慮する必要もあるかもしれない。
3)どれを優先するのか?
教育は一朝一夕で出来るモノではない。
短期的視点と長期的視点が必要である。
また、人は一度にいくつもの物事を覚えられるモノでもない。覚えるスピードには個人差もある。
誰に、何を教育するのか?を決定する際には、各個人に対して優先度を明示するべきである。
教育項目の優先順位を明示した上で、各項目についていつまでにそれを行うのか目標期限を決める。
4)いつまでに、どのように教育するのか?
各個人毎に教育項目と優先順位を決めたならば、いつまでに、どのようにその知識・スキルを身につけるかについては、基本的には各個人の意志に任せるべきである。
会社が必要とする知識・スキルを、会社が要求するタイミングで身につける人は、会社全体の成果に貢献するわけであるから、当然高い評価に値する。
人には個々の能力差があるため、会社が必要とする知識・スキルを、会社が要求するタイミングで身につけられない人もいる。会社の要求に間に合わなかったとしても、それを身につけることができれば、当然評価に値する。
各個人によって、修得のスピードは違う。
各人の能力と意志を生かせるように、各個人が自ら計画を立てることが必要である。
5)成果は何か?
教育計画は、会社の成果の向上を目指している。
したがって、教育の成果も当然、会社全体の成果の向上である。
CPDあるいはCPDSのポイントをためることが目的ではない。
教育は会社の成果を高めるために行われなければならない。
多くの会社では、無計画にその場その場で技術者教育が実行されていることが多い。
会社の成果との関連が取れていない教育は、時間とお金を無駄にしている可能性が高いことを再度認識すべきである。
教育の投資効果を高めるためには、キチンと「教育訓練計画」を立て、実行することが欠かせない。
教育は大変重要な経営課題であることを忘れてはいけない。
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