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2009/06/27

鹿児島県にて講演;いかにして事業(ビジネス)の成果を高めるか〜TOCーCCPMというマネジメントの考え方〜

 平成21年6月11日鹿児島市内にて、表記タイトルで講演をさせていただきました。

 鹿児島県、鹿児島県農村振興技術連盟、鹿児島県農村振興事業連盟主催 平成21年度 農業農村整備 第1回県内研修会の中で90分時間をいただきました。

 ありがとうございました。


 参加者は約270名、属性も様々ということで非常にターゲットを絞りにくい状況でしたが、「発注者側が公共事業の成果を高めるためのカギを握っていること」「これまでの常識ではなく、未来の成果に対して必要なアクションを取るべきこと」をしっかりと認識していただきたい思いでお話しをさせていただきました。

 以下に講演資料を添付いたしますので、ご意見などいただけたら幸いです。

 講演配布資料(PDF)をダウンロード

 タダ読みは禁止です。
 読んだ方は必ずご意見・ご感想をください^^

 スライドは行間が非常に多いのでわかりにくいところもあると思いますので、ご意見をお寄せいただいた方でご希望の方には、より詳しい解説が載っている講演用メモをプレゼントいたします。

2009/05/22

技術者の教育訓練は重要な経営課題としてきちんと扱おう

 技術者や技能者に対する継続的な教育訓練の重要性については、建設業においても他産業においても変わらない。
 
 建設業では、特に最近の「継続教育ブーム」によって技術者教育への意識は高まってきている。
 
 しかし、教育訓練のあり方についての基本的な考え方が一貫していないために、貴重な時間と貴重なお金を浪費してしまっている例が多いように感じる。
 
 CPDあるいはCPDSポイントをによる技術者評価の仕組みを利用していくことは必要であるが、それ以上に経営戦略上必要な技術者教育をきちんとして行かなければならない。
 
 長期的視点において経営の基礎となる「人財」を育成していくためには、地に足を付けて”計画的”に教育を行わなければならない。
 
 技術者の教育訓練は、企業の将来を左右する大変重要な経営課題であることを認識して取り組まなければならないということである。
 
 以下、教育訓練のあり方について、持論を述べてみたい。
 
 
 教育訓練は、短期的・長期的な視点の両面から計画的に行う必要がある。

 教育訓練計画の作成に当たっては、以下の問いに答える必要がある。
 
  1)何を教育するのか?
 
  2)誰を教育するのか?
 
  3)どれを優先するのか?
 
  4)いつまでに、どのように教育するのか?
 
  5)成果は何か?
 
 
以下、各項目について詳細に記述する。

1)何を教育するのか?
 まず前提条件として、会社(全体)があげるべき成果何か知らなければならない。
 そして、その会社(全体)があげるべき成果に対して、各部署あるいは各個人がどのような貢献を果たすべきなのかを知らなければならない。
 
 各部署あるいは各個人がその貢献を果たすために必要とされる知識やスキルが、教育すべきモノである。
 
 このとき、会社(全体)の成果に対する貢献は、直接的に目に見える事項に限らないことに注意が必要である。
 
 会社(全体)の成果に対しては、間接部門が果たすべき役割をもち、その役割を果たすために必要な知識・スキルが必ずある。
 
 また、必要であることが明らかになった各知識・スキルについては、それぞれの事項の会社成果への影響度合いを評価しておく必要がある。
 
 
 1-1 会社があげるべき成果は何ですか?
 
 1-2 会社があげるべき成果に対して、各部署あるいは各個人が果たすべき貢献は何ですか?

 1-3 会社があげるべき成果に貢献する知識・スキルは何ですか?
 
 1-4 それら知識・スキルの会社の成果に対する影響度合いはどうですか?
 
 
2)誰を教育するのか?
 
 まず、上記で明らかになった必要な知識・スキルに対して、教育対象候補者が現在どのようなレベルにあるのかを明らかにする必要がある。
 
 教育対象候補者と必要な知識・スキルの組み合わせを行列表に表し、各教育対象候補者の現状の知識・スキルレベルを記録する。
 
 上記行列表が、現状の会社従業員の教育レベルの基本情報である。
 
 これに対して、どの候補者のどの知識・スキルを高めるていくべきなのか、それは経営上の意思決定である。
 
 このとき、各個人の能力差も考慮する必要もあるかもしれない。
 
 
3)どれを優先するのか?
 
 教育は一朝一夕で出来るモノではない。
 
 短期的視点と長期的視点が必要である。
 
 また、人は一度にいくつもの物事を覚えられるモノでもない。覚えるスピードには個人差もある。
 
 誰に、何を教育するのか?を決定する際には、各個人に対して優先度を明示するべきである。
 
 教育項目の優先順位を明示した上で、各項目についていつまでにそれを行うのか目標期限を決める。
 

4)いつまでに、どのように教育するのか?
 
 各個人毎に教育項目と優先順位を決めたならば、いつまでに、どのようにその知識・スキルを身につけるかについては、基本的には各個人の意志に任せるべきである。
 
 会社が必要とする知識・スキルを、会社が要求するタイミングで身につける人は、会社全体の成果に貢献するわけであるから、当然高い評価に値する。
 
 人には個々の能力差があるため、会社が必要とする知識・スキルを、会社が要求するタイミングで身につけられない人もいる。会社の要求に間に合わなかったとしても、それを身につけることができれば、当然評価に値する。

 各個人によって、修得のスピードは違う。
 
 各人の能力と意志を生かせるように、各個人が自ら計画を立てることが必要である。
 
 
5)成果は何か?
 
 教育計画は、会社の成果の向上を目指している。
 
 したがって、教育の成果も当然、会社全体の成果の向上である。
 
 CPDあるいはCPDSのポイントをためることが目的ではない。
 
 教育は会社の成果を高めるために行われなければならない。
 
 
 
 多くの会社では、無計画にその場その場で技術者教育が実行されていることが多い。
 
 会社の成果との関連が取れていない教育は、時間とお金を無駄にしている可能性が高いことを再度認識すべきである。
 
 教育の投資効果を高めるためには、キチンと「教育訓練計画」を立て、実行することが欠かせない。
 
 教育は大変重要な経営課題であることを忘れてはいけない。
 

2009/04/21

ワンデイ・レスポンスの解決する問題とは?

ワンデイ・レスポンスについても、以下の視点で、検証してみましょう。
 


 「その解決策が有効であるならば、どの問題を解決するのか?」
 
 
 ワンデイ・レスポンスが公式な政策としての地位を築くことになったきっかけでもある「国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任に関する懇談会 中間とりまとめ 」PDF資料(平成18年9月)によれば、
 

2)現場の問題発生に対する迅速な対応
施工の現場において、発注段階で予見不可能であった諸問題が発生した場合、対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合があるため、実働工期が短くなり、工事等の品質が確保されないケースが発生していると指摘されている。
そのため、発注者は、「ワンディ・レスポンス」の実施等、問題解決のための行動の迅速化を図る必要がある。

 
と書かれています。
 
ここに書かれている問題構造の因果関係を調べると、下記のように分解できます。
 
【プロジェクトの持つ変えられない本質】施工の現場において、発注段階で予見不可能であった諸問題が発生する(原因) → (結果)対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合がある(原因) → (結果)実働工期が短くなる (原因) → (結果)工事等の品質が確保されないケースが発生している
 
 ここで問題となっている症状は、「工事等の品質が確保されないケースが発生している」ことであり、その根本にある原因は、「施工の現場において、発注段階で予見不可能であった諸問題が発生する」というプロジェクトの持つ変えることのできない本質的な「不確実性」であると言うことのようです。
 
 ただし、この本質にある「不確実性」は解決不可能なので、その結果である「対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合がある」という事象にアクセスすることによってこの問題を解決することができそうというのがこのロジックのようです。
 
 「不確実性」があれば、当然「対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合がある」ことはやむを得ないと感じてしまいます。
 だれが悪いわけではなく、工事というモノはそういうモノなのだと。
 
 
 当然のことでは問題としてとらえにくいので、これが対処すべき事象であることを明確にするためには、少し表現を変えた方が良さそうです。
 「対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合がある」→「対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合が多すぎる」と変えてみましょう。
 
 日本人的には、自分たちの仲間の立場を悪くするようなことは言わず、曖昧な表現で済ませたいかもしれませんが、問題を正しくとらえるためには、歯に衣を着せていてはできません。
 事実をしっかりと把握しなければなりません。
 
 歯に衣を着せたままで問題を分析することは、間違った解決策を導くだけですので、はっきり言って時間のむだです。
 出てきた解決策は、本当の問題を隠してしまい、真の問題解決をかえって遅らせます。
 
 海外では、この問題をオブラートに包む、一見居心地の良い文化を「日本的調和」「和」などという言葉によって理解しています。
 日本人組織は、この文化的特性があるが故に、真の問題解決が難しいとさえ言われています。
 
 
 少し脱線しました。話を戻します。
 表現を「対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合が多すぎる」としてみると、その原因が「施工の現場において、発注段階で予見不可能であった諸問題が発生する」というプロジェクトの持つ本質的な「不確実性」だけに特定されることは少し違和感を感じます。
 
 不確実性の他にも何か原因がありそうです。

 「施工の現場において、発注段階で設計検討不足であった事項について諸問題が発生する」あるいは「施工の現場において、設計がまだ完了していない事項がある」とした方が、よく見たり聞いたりする状況とも一致し、より現実的な感じがします。
 
 事実を曲げずに、現場の実態をきちんと言葉として表現すべきです。
 でなければ、問題は解決できません。
 
 
 ここで解決策として提案されていることは、以下です。
 
 「発注者は問題解決のための行動の迅速化を図る」必要がある。その具体的手段の一つとして「ワンディ・レスポンス」の実施等が含まれている。
 
 まとめてみると、以下のようになります。
 ○解決策;発注者は問題解決のための行動の迅速化を図る
 ○解決すべき問題;対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合が多すぎる
 
 ただし、このとき意思決定に時間を要する原因のうち、不確実性以外のものについては、除去が可能であれば影響の大きいものから除去すべきだと思われます。
 この原因については、上で2つ例を挙げました。
  「施工の現場において、発注段階で設計検討不足であった事項について諸問題が発生する」
  「施工の現場において、設計がまだ完了していない事項がある」
 これ以外にもあるかもしれません。それぞれの環境によって違うかも知れません。

 いずれにしても、「まず最初に、どの原因を除去するか決める」ことが重要だと思います。
 改善の基本は、選択と集中です。 
 
 
 また、ここでは一切触れられてはいませんが、「工事品質が確保できない」ことの直接的な原因になっている「実働工期が短くなる」事象に関しては、「対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合がある」という事象よりも、もっと強い原因事象があると感じます。

 「実働工期が短くなる」ことが、「工事品質が確保できない」の原因であると思うのならば、なぜ「実働工期が短くなる」のか?その原因である事実をもっと正確に把握する必要があると思います。
 
 現場の実態は、トップの耳に入っていないことがよくあります。
 
 正しい解決策の方向性を見いだしたいと本当に思うのならば、少なくとも問題分析の際には、オブラートをすべてはがすことを期待します。

 正しく現状の問題点を把握し、より良い方向性に向かえることを心より期待しています。
 

2009/04/20

なぜ?設計・施工分離なのか?(空論編)

 よく、「設計・施工の分離が原則である」と聞きますが、なんとなく感覚的に不正を防ぐためにそうなんだろうな、ぐらいにしか考えませんでしたが、良い機会なのでもう少し深く考えてみることにします。

 なぜ、「設計・施工を分離する」のか?

 この原則が、有効な解決策だとすれば、どんな問題を解決するのか?
 
 
 まず設計と施工が分離された歴史を振り返ってみます。

 ネットで探してみても、なかなか「検証できる事実」が見つかりませんでしたが、とりあえず見つかった情報を照査していきます。

 まず、国土技術政策研究所のHPエリアに置かれていた資料(「発注方式の最適化に向けて」PDF)の中に、設計・施工分離に関する記述を発見しました。
 


 昭和34年「土木事業に係る設計業務等を委託する場合の契約方式等について」(事務次官通達)
  設計業務の受託者には原則として当該設計に係る工事の入札に参加させ、請け負わせてはならない。

 
 この事務次官通達というものが、設計・施工分離の原則のおおもとのようです。
 
 建設コンサルタンツ協会のHPを見てみると、「建設コンサルタントの歴史」をまとめた文章の中に、やはり同様の記述がありました。
 

 昭和34年1月、建設省事務次官通達「土木事業に係わる設計業務などを委託する場合の契約方式等について」が発出され、任意の事業について、原則として設計業務を行うものに施工を行わせてはならないという、いわゆる「設計・施工分離の原則」が明確化されました。この原則は、設計業務(調査、計画、設計)を行う建設コンサルタントの確立と発展の基礎になりました。

 
 この事務次官通達は、設計・施工分離の原則を定めることによって、「建設コンサルタント業の存在意義」を確立しているものということと言えそうです。すなわち、これを否定することは、建設コンサルタント業の存在を否定することになります。
 
 危険な話に首をつっこんでしまいました。(汗)

 
 それを裏付けるかのようにやはり、「設計・施工分離派」と「設計・施工一貫派」との対立が、ネット上でも論争をくり広げているようです。
 
 TOCは対立を好みません。

 必ずWIN−WINとなる解決策があるはずです。
 
 ただし、その解決策を考えることは別の機会にします。
 
 
 ここでは「なぜ?設計・施工分離なのか?」を考え続けることにします。
 
 
 昭和34年1月の建設省事務次官通達が、絶大なる効力を発揮しているわけですが、そもそも「事務次官通達」なるものがどのようなものなのかわからないので調べてみることにしました。

 事務次官通達とは、「事務次官」が出す「通達」で、「通達」とは、ビジネス支援サービス「法令の調べ方」によれば、

 通達とは、国家行政組織法に基づき、各大臣、各委員会及び各庁の長官がその所掌事務に関して所管の諸機関や職員に命令又は示達する形式の一種。法令の解釈、運用や行政執行の方針に関するものが多いです。

 法律ではないものの、事実上は法律と同じに守らなければならないもののようです。
 有効期限は定められていなくて、改正されるまで有効というものが多いようです。

 有効期限がないと言うことが少し引っかかりますね。
 その時は必要に迫られて「通達」を出すのでしょうが、有効期限がないために見直す機会も失われていそうです。
 社会環境が変化しても、問題にされない限りは「法律のような原則」として生き続ける。特に公的組織は、前任者の仕事を否定することを嫌う傾向がありますので、たくさんのアンティークが残っていそうです。
 
 
 ところで、昭和34年1月の建設省事務次官通達がどんな内容(本文)なのか確認しようと思って、WEB検索を繰り返しましたがヒットしません。
 
 国土交通省の告示・通達データベースを利用して、さらに検索を試みますが、なぜかこの通達はヒットしませんでした。
 
 
 さて、困りました。
 ここまで書いておきながら、「設計・施工分離の原則」のよりどころである事務次官通達という「事実」の存在が確認されないと、ここに書いた議論はただの空論になってしまいます。
 
 
 空論にいくら時間を割いても仕方がないので、次は原則ありきではなくて、実際のメリット・デメリットを考えながら、「分離」VS「一貫」の対立を考えてみることにします。

2009/04/19

三者協議の解決する問題とは?

 
 

「その解決策が有効であるならば、どの問題を解決するのか?」

 
この質問に答えるために、少し考えてみよう。
 
三者協議会とは、一般に公共工事の施工段階で、発注者と設計者、施工者の三者が施工に関する協議を行う場である。
 
基本的には、工事着手前に設計者から設計思想の伝達と施工上の留意点を伝え、施工者からは施工計画上の疑問点を質問し、発注者は必要に設計変更などを指示する場である
(工事着手後に現場条件の相違が判明し、設計上の疑義が生じた際に、三者が集まる場についてもこれに含めている場合があるようだ。)
 
 
最近発表された福岡市の三者協議会の実施要領(PDF)がわかりやすいので、論理的に検証を試みる。
 
円滑な工事の実施を図るためには,工事請負業者(以下,「施工者」という。)が設計図書 と現場の整合性や設計思想を十分に把握した上で工事を実施しなければならない。

 
ここは必要条件のロジックで書かれている。
 「円滑な工事の実施を図る」というニーズを満たすためには、「施工者が設計図書と現場の整合性や設計思想を十分に把握して」いなければならない
 
それはなぜですか?
 
なぜならば、(次の段落より)「設計と施工を分離発注している」からです。
 
設計と施工を分離発注しているため,当該工事の詳細設計を担当したコン サルタント(以下,「設計者」という。)と施工者が異なり,設計者の設計思想や施工上の留意点が細部にわたって施工者に伝達されず,施工計画に施工の留意点等が適切に反映できない等,円滑な工事の実施に一部問題が生じている

 
このパートは、原因と結果の関係が述べられています。
検証してみるとこのような構造になっています。
 
【方針】「設計と施工を分離している」(原因) → (結果)「設計者と施工者が異なる」(原因) → (結果)「設計者の設計思想や施工上の留意点が細部にわたって施工者に伝達されない」(原因) → (結果)「施工計画に施工の留意点等が適切に反映できない」(原因) → (結果)「円滑な工事の実施に一部問題が生じている」と感じている
 
さて、このロジックはしっかりと通っていますか?
 
もし、このロジックが通っているのならば、その根本原因は見ての通りです(笑)
 
 
「設計施工の分離」という方針です。
 
 
それに対する解決策が次のパートです。
 
発注者と施工者にて通常行われている協議の場に,設計者を加えることで,設計思想及び設計・施工条件や施工上の留意点などの確実な伝達を行い,工事目的物の品質確保及び円滑な工事の実施を目的に「三者協議会」を行うこととする。

 
このパートも原因と結果の関係が述べられています。
検証してみます。
 
【解決策】「発注者と施工者にて通常行われている協議の場に,設計者を加える(三者協議会)」(原因) → (結果)「設計思想及び設計・施工条件や施工上の留意点などの確実な伝達を行う」(原因) → (結果)「工事目的物の品質確保及び円滑な工事の実施ができる」
 
円滑な工事の実施ばかりか、ここでまで一言もふれられなかった「品質」まで確保されちゃいました。(苦笑)
おそらく書いている人の頭の中では、「円滑に工事が実施される」(原因) → (結果)「工事目的物の品質が確保される」というロジックがあるのでしょう。
 
さて、最後のパートです。
 
さらに,計画・設計・施工の各分野の技術的知識を相互に交換することで,それぞれの一層の技術力向上と,施工者においては効率的な施工の実現,設計者においては成果品の品質向上を目指すものとする。

 
このパートも原因と結果の関係が述べられていますので、検証してみます。
 
【解決策】「計画・設計・施工の各分野の技術的知識を相互に交換する(三者協議会)」(原因) → (結果)「それぞれの一層の技術力向上」(原因) → (結果)「施工者においては効率的な施工の実現」「設計者においては成果品の品質向上」
 
良いことの連鎖するサイクルが起こるという意味ですね。
非常に良い解決策だと言うことが強調されています。
 
さて、このようにロジックを分解してみると、「三者協議会」という解決策は次の問題にアクセスしていると解釈できます。
解決すべき問題;「設計者の設計思想や施工上の留意点が細部にわたって施工者に伝達されない」
 
しかし、これはロジックを見てわかるとおり原因でありますが、さらに深い原因によって起こっている結果でもあります。
 
より根本的な問題解決を図るためには、真の原因にアプローチする必要があることがわかります。
 
 
真の原因の多くは、マネジメント上の方針であることが多いことを付け加えておきます。
 なぜ、その方針が必要なのか?
 
 
「問題は人にはない、システムにある」というのが、TOC(制約条件の理論)の教えです。

2009/04/17

公共工事に関するさまざまな取り組みをあえて批判する

公共工事に関しては、受発注舎間の立場の違い、いわゆる「請け負け(うけまけ)」という言葉で代表されるように、受注者側がさまざまな「負け(LOSE)」の状況を強いられることが多い。

その結果、さらにその下請け業者は、実際に行った工事に見合った支払いを受けられないなど、「負け(LOSE)」の状況が末端えと伝播していく。

この関係において、「勝ち(WIN)」は発注者のみである。一人勝ちである。

発注者である国や自治体が市民の代理者であるならば、市民が常に「勝ち(WIN)」を得ていることになる。

本当に?
 
まず、請負者が「負け(LOSE)」となる状況については、「サービス仕事」あるいは「無報酬業務」と表現されていることが多い。

日建協では無報酬業務の解消に向けての活動として、国交省が行っているさまざまな取り組みを利用しようと呼びかけている。

 ○無報酬業務の解消に向けて、国土交通省の各種対策を活用していこう

ここに、国土交通省が行っている取り組みが一覧となって紹介されている。

国土交通省が、受注者からの不満を聞き入れ、対策を取ろうとしている姿勢が見える。

ここに載せられている対策がすべて取られるのであれば、受注者が問題としている「無報酬業務」の問題は解決されるように思われる。
 
 
さて、ここで一つ大変重要なことを忘れていないか、チェックする必要がある。

これから実行しようとする解決策について、以下の質問に答えてほしい。

1,もし、その解決策が有効であるならば、その解決策によって解決する問題は何ですか?

2,もし解決できるのならば、それはなぜですか?

3,その解決できる理由は、本当に存在しうることですか?
 

次の質問に答えるならば、視野が広がるはずである。
 
1,解決しようとする問題が原因で、引き起こされている悪い症状は何ですか?
 
2,またその問題は、何によって引き起こされているのですか?
 
 
正しく問題を把握しなければ、導かれる解決策も正しいものにはならない。

解決策が提示されたのならば、それが解決する問題が何かをしっかりと把握し、その問題解決が真の問題解決につながるのかどうか、しっかりと考えなければならない。


多くの解決策は、目先の症状緩和で満足して、その根本にある原因を見ようとしない。

咳止めの薬だけ飲んで、肺炎を治療しないようなものである。

場当たり的な対処療法は、絆創膏ばかりを増やして、本当の病気を治すための視線をそらしてしまう。

問題の本質を確かめるために真剣に考えていきたいものである。


2009/04/09

ワンデイレスポンスをうまく実行するコツを考える

ワンデイレスポンスが行われるようになってから、たびたび(批判的)意見を述べてきた私であるが、2009年度から国交省の土木工事では一斉実施とのことなので、少し良い方向へ行くような方策を考えてみたい。

ワンデイレスポンスが必要となった経緯は、受注者側が問い合わせた事項に対して、発注者が迅速な回答を行えないために、むだな待ち時間が発生し、受注者の利益を、しいては最終利用者の便益を阻害しているため、早く回答しようという単純なことである。

すぐに回答していない → すぐに回答する
 
これで問題解決!
 
本当に???

 
あまり短絡的に考えてはいけない。

みな、言われなくても一生懸命仕事はしている。
 
何か、もっと深い理由があるからこそ、担当者はすぐに回答できないのである。
 
その回答できない理由にこそ、問題の本質がある。
 
その問題の本質を正しくとらえることが、解決策の正しい方向性をしめしてくれるだろう。
 
だから、私が再三繰り返して主張しているのは、ワンデイレスポンス活動は、真の問題を発見するために利用すべきである。

その活動に満足してはいけない。
 
それは、まだ入口に過ぎない。
 
ワンデイレスポンスを上からの号令でやるならやればよい。
 
その活動自体を目的化してはいけない。
 
ワンデイレスポンス活動によって、なんで迅速な回答ができないのか、その真の原因を突き止めて、それに対処することこそが重要である。

ワンデイレスポンス活動の成功は、2段構えで考えておくべきである。

ただのスローガンやキャンペーン活動に終わってはいけない。

継続的改善への架け橋として利用するべきである。

と、私は考える。

 
ついでに言うならば、そのとき大事なことは、活動の成果として何を測定するのか?である。
 
それによって、継続的改善へとの架け橋となるかならないかが決まる。
 

2009/03/12

本質からはずれた施工計画ブーム到来を憂う

総合評価落札方式の広がりに伴って「施工計画」や「施工方法等の技術提案」が脚光を浴びている。

 私が施工計画の技術士として独立した6年半前には想像もつかなかったような、ブームとも言えるような様相を呈している。

 施工計画の技術士としてはうれしいはずの状況であるが、実はその逆である。
 
 このブームは、「施工計画」の大切さを間違って理解されるているように感じるからだ。

 
 何度となく述べているが、施工計画の目的は、「立派な施工計画書」をつくることではない。「技術提案」も、高い点数をとるために行うモノではない。

 「プロジェクトの目的」あるいは別の言い方をすれば「顧客の視点」が完全に抜けているようなものが、良い影響を及ぼすわけがない。

 
 
 建設工事というプロジェクトを行うためには、それがどんな小さなプロジェクトであっても、「計画」が必要である。(※)

 その工事の目的を達成するために、どのように工事を行うのか「計画」することが「施工計画」である。

 「計画」時点で、プロジェクト全体の成果を高めるために、より良い計画を提案することが「技術提案」である。

 
 プロジェクトの目的を忘れ、立派な書類作り、点数稼ぎの書類作りに対して努力しているのならば、何かがおかしい。

 立派な書類を作ることや、高い点数をとれる技術提案が、施工技術を担保するとは思えない。

 そのような努力が、建設業の力を上げるとも思えない。
 

 プロジェクトの成果を高めるための努力が評価されるのでなければ、またしても間違った方向に導かれるままに、間違った努力に貴重な時間とお金を使い、建設業(特に地場中小業者)はますます疲弊するのではないだろうかと危惧している。

  
(※)プロジェクトにおける「計画」の重要性については、また別途述べることにする。
 

2009/02/03

WEBページの再構築中です

施工計画どっとこむをご利用の皆様へ

本サイトは昨年(2008年)年末から、今年(2009年)1月にかけ、悪意のあるハッキング被害を受け、サイト停止に追い込まれておりました。
自分のサイトが被害を受けるばかりか、他社のサイトを攻撃するようにされてしまったため、大変ご迷惑をおかけしてしまいました。

この度、サイトの運営を抜本的に見直し、再構築しました。

今後ともよろしくお願いいたします。


桂 利治
 技術士(総合技術監理、建設部門)

2008/04/02

総合評価技術提案事項の施工時変更の是非

総合評価入札で落札された現場でこんな会話が交わされている。

「施工計画書に書いてしまったので、それはやらないといけないんですよ」

「なぜ?」

「やらないと、ペナルティがあるんです。」

「・・・」

 入札時点での施工計画は、いくら詳細に計画しようとしたところで、どうしても確定できない部分が出る。

 このような不確実な部分を、不必要なまでに詳細に計画することは時間の無駄である。

 不確実なことは、不確実であることを明らかにし、必要なときまでに忘れずに検証すれば良い。


 そういう意味で、入札時点での施工計画は、仕事を始めてみないとわからない部分については、一般論に終始せざるを得ない。

 不確実なことを確かめもせずに、詳細な計画を立てたところで、結局使えないものができるだけである。


 しかし、困ったことに総合評価技術提案で受注した工事は、不十分な計画によって実際の行動が縛られてしまう。

 不確実性満載の状態で行った計画に対して、実際に現地を確認して、もっと良い方法が見つかったのならば、計画を修正し、より価値を高める方法をとることは、技術者として当たり前の努力である。

 が、しかし、それを行うとペナルティがあるからといって、現場技術者が自らの技術的見解や創造力までを封印しようとしてしまう。

 総合評価制度の施工計画提案とは、そのような行動の制約を与えるためのモノではないはずだ。


 我々が本当に実現しなければならない価値が何であるか、もう一度よく考えて、制度を運用していただきたいと切に思う。

 そのためには、正しい行動が、正しく評価されるように一刻も早くしなければならない。


 受注者側は、計画には変わらない部分と変わる部分があることを認識した上で、技術提案を行うことが必要である。

 発注者側は、入札時の提案が完璧であることはないため、それよりもさらに良い提案を出してきた場合には、入札後VE等の仕組みを利用して適切に評価し、修正できる余地を残すことが必要である。

 制度の目的は、人を罰することではない。

 より良い社会資本を、より効率的・効果的に整備するために努力したい。

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